[更新日] 2022年3月14日

CADオペレーターの仕事内容とは?CADの種類や資格について

CADは一般的にはコンピューターを使用した製図方法で、パソコン上の製図ソフトウェアやシステムを指します。また、CADを使用して製図を行う職種を「CADオペレーター」と呼びます。

CADとは、Computer Aided Designの略で「コンピューターによる設計支援」という意味があります。従来、部品や設計のための製図は手作業で行われていましたが、技術力の進歩に伴って、コンピューターでも製図が可能、修正やサンプル作りも容易にできるCADが広まりました。

日本のものづくりによって生まれた製品は高い品質と技術力の結晶です。一から製品を作る上でも、改良する上でも必要な製図作業の上で重要な役割を担っているのがCADオペレーターの仕事です。

CADの種類や資格、CADオペレーターに向いている人(性格など)についてご紹介します。

執筆者のプロフィール

はたら工場マガジン編集部
編集部には工場での仕事経験者をはじめ、ものづくりに関わる資格保有者や人材派遣会社のキャリアコンサルタント経験者が在籍。工場や製造業の仕事をわかりやすく解説します。専門家たちが集まる「はたら工場マガジン」の運営から得た知見を活かした情報発信を心がけています。

CADの種類について

CADを使用しての製図は、自動車や飛行機、船体などの乗り物や回路や基盤、半導体などの機械部品、建築物や土木の分野まで幅広く用いられていますが、それぞれで使用するCADソフトやシステムの種類も異なります。ここでは、主に工場で使用されているCADの種類を紹介します。

汎用CAD

AutoCADやJW_CADなど、専門学校やパソコンスクールのCAD講座や授業でも習う一般的に使われているCADを「汎用CAD」と呼びます。幅広い分野で使用されているCADソフトのため、使い方を覚えておくと汎用CAD以外にも応用できます。

機械用CAD

メカCADとも呼ばれます。主に機械部品や機械設計の製図のために使用されるCADです。

電子系CAD

電子回路や基板など、電子系の製図に使用されるCADです。

3DCAD

従来の2DCADに比べて視覚的に製図を理解しやすい、3Dプリンターとの互換性がある、

2DCADよりも技術者の習熟が早いなどのメリットを持つ3DCADが工場でも取り入れられるようになりました。

CADオペレーターの仕事内容とは

工場での業務内で、どのようにCADオペレーターは活躍しているのかをご紹介します

製品の製図

工場で製造する製品の製図をCADで行います。工場内で行う場合もあれば、本社内にある開発部などで行われることもあります。

図面のトレースや修正

製品を改良するために製図をやり直す時にも、CADを使用すれば図面のトレースや修正も容易にできます。

製造ラインの改善

工場で製品を生産する時には、製造ラインごとの工程を踏んでいきますが、3DCADを使用すれば、工場の製造ラインの問題点も視覚的に把握できます。さらにレイアウトも可能になるので、コストダウンや生産効率化のための製造ラインの見直し作業にも用いられます。

CADオペレーターの仕事に必要な技術

CADソフトの基本的な操作

工場のCADのお仕事に就くには特定の資格は必要ありませんが、基本的なCADソフトの操作ができることは必須です。また、工場によってはより高い技術を持つCADオペレーターを求めていることもあるので、CADを使った実務経験があればなお有利です。逆に、未経験でも可のCADオペレーターの場合は、実務経験に代わるソフトの操作と共に、業界に関する知識が求められます。

製品の知識

CADソフトの使い方を知っていても、自分が製図する製品が具体的にどのようなものかを理解していないと作業はスムーズにいきません。工場で生産される製品の形や用途など、製品に関する知識をあらかじめ頭に入れてからの作業が求められます。

CADオペレーターの仕事に向いている人

根気や集中力

CADでの製図作業はシミュレーションやフィードバックを繰り返し、時には作業が単調になることもあります。コツコツした作業が苦にならない、ひとつのことにじっくり取り組める根気の強さや集中力も求められます。

コミュニケーション能力

CADオペレーターの仕事は、工場で実際に製品を作る人や営業・開発に携わる人など社内の人間、取引先など社外の人間と多くの人と関わる機会があります。幅広い人と円滑にコミュニケーションを取りながら作業を進める必要があります。正しい敬語の使い方やメールを含めたビジネスマナーなどもしっかり身に着けておきましょう。

臨機応変さ

CADオペレーターの仕事は、少数人数で行っているところが多いです。また、毎日決められた作業を繰り返し行うのではなく、新しい物をつくる、作ったものを作り直す、の繰り返しのため、柔軟に対応できる臨機応変さが求められます。

CAD利用技術者資格を取得する

CADの利用に関する資格は多々ありますが、中でも特に著名なのが「CAD利用技術者試験」です。どの程度のCADの知識や実力を持つかを証明できる資格のため、CADのお仕事に初めて就きたい人から、CADの仕事でキャリアアップを目指したい人まで効果的なアピールができます。

CAD利用技術者試験は、一般社団法人コンピュータ教育振興協会が実施している資格試験です。「2次元CAD利用技術者」の基礎・2級・1級(1級は「機械」「建築」「トレース」の分野別)、および「3次元CAD利用技術者」の2級・準1級・1級の段階に応じて受験が可能です。一般社団法人コンピュータ教育振興協会の試験申し込みサイトから申し込みができます。

試験の範囲は以下の通りです。

2次元CAD利用技術者試験基礎概要
受験対象者 これからCADを本格的に学ぶことを目的とした、3ヶ月程度の就学者を想定して試験を行います。2級および1級へのステップアップとしてだけではなく、将来、設計や製図、CADシステムの販売等の業務を目指す方が対象です。
受験資格 制限なし
資格名/称号 2次元CAD利用技術者試験基礎
受験料 4,000円+消費税
試験時間 50分
試験方式 ■筆記試験(50問)
(IBTシステムによる多肢選択および真偽方式)
試験分野 ■CADシステムの知識と利用
CADシステムの概要と機能、CADシステムの基本機能、CADの作図データ
■CADシステムのプラットフォーム
CADシステムとハードウェア、CADシステムとソフトウェア、ネットワークの知識、情報セキュリティと知的財産、コンピュータの操作、OSの基本操作
■製図の知識
製図一般、製図の原理と表現方法、製図における図形の表現方法
■図形
三角形、四角形と多角形、円、三平方の定理、三角関数、立体図形
合格基準 総合7割以上を合格基準とします。

引用:CAD利用技術者試験 – ACSP 一般社団法人コンピュータ教育振興協会

まとめ

2D・3DのCADを活用することで、さらにものづくりの分野でも新製品開発や改良が円滑にできるようになりました。今後も需要の高いCADのお仕事に興味のある方や、製図をしてみたい方は、求人を探してチャレンジするのがおすすめです。