
私たちが日常生活で使用する製品や口にする食品を、安心・安全に届けるために工場では徹底した生産・品質管理が行われています。製品の安心と安全を担う大切な役割が「検査」。
主に工場で行っている検査のお仕事の内容やなる方法、メリット、必要なことについて紹介しています。
「検査」とは、製品やサービスが決められた条件や規定を満たしているのかを調べるために、さまざまな測定や試験を行うことです。例えば、体に不調がないかを調べるために医療機関で行っている「臨床検査」があります。これは、体の中に異常がないかを、尿検査や採決、レントゲンなどで測定や試験を行い、結果によって体を診断する検査です。
人体に対する検査だけでなく、製造業の工場でも、消費者に安心・安全な製品を届けるために適切な検査を行っています。次に、工場で行われている検査の種類について見てみましょう。
工場における検査とは、製品に対する検査、工場の作業環境に対する検査の2つに分かれます。
工場では、製品の仕様目的や材質、形などが細かく定められた「規格」に沿って生産されます。この規格通りに製品が生産されているかをチェックするために行われているのが、製品に関する検査です。
原材料の検査をする
製品の生産に使用する原材料が規格通りのものか、有害な物質や微生物の混入がないかを検査します。検査される原材料は、木や鉄、プラスチックなどの材質から食材、水まで多岐にわたります。
作業工程内でチェックする
製品が出来上がる途中でも、要所で検査を実施します。食品工場を例に挙げると、原材料を混ぜ合わせる、規格通りの形にカットする、オーブンで焼き上げる、の工程があるとして、オーブンで焼き上げる前に、形が規格通りかを検査します。検査の結果によって規格通りのものは次のオーブンの工程へ、規格外のものは工程から外されます。
出来上がった製品のチェックをする
最終的に出来上がった製品が、規格通りに出来上がっているのかを検査によってチェックします。最終検査では、製品の規格だけでなく生産数もチェックします。
不良品が出た場合には原因を探る
各検査の結果、規格外の製品である不良品が出た時にはその不良品が出た原因を探るために検査を行い、再発防止に努めます。
製品そのものへの検査のほかに、製品が適切な環境下で行われているかを調べる、作業環境に対する検査も行われています。
衛生状況をチェックする
安心・安全な製品の生産には徹底した衛生環境が必須。製品への細菌や異物の混入を防ぐために、作業環境では作業台やベルトコンベア、生産に使用している器具などの検査を定期的に行っています。
生産工程で規格外の商品を自動的に検出・排出する「自動検査装置」を使った検査や、顕微鏡や測定機などの専門の機器を使用して行う検査が機械検査です。
機械ではなく人の目で直接確認して行う検査が機械検査です。人の目も体と同じく使っていると疲労がたまり、見落としをしてしまうなどの検査精度が落ちてしまいます。そのため、機械検査と併用して行われたり、複数の人員が交代で目視検査を行ったりしています。
主に食品工場などで作業環境の衛生状態を調べるための検査です。作業台などをふき取って付着した中に、有害な細菌などがないかを調べます。
工場のお仕事というと、力が必要な重労働が多い、というイメージを持つ方が多いです。検査の仕事はラインでの目視や机に向っての作業ばかりなので、力仕事はなく女性やシニア世代の方でも働くことができます。
難しい機械を使うだけでなく、比較的単純な作業でできる検査の仕事も多数。なので、初めて検査や工場の仕事をする人でも、すぐに仕事を覚えられます。
検査で触れるのは、自動車の部品や電化製品、食品など身近なものが多いです。日常生活で使用している製品の生産工程に携われるので、仕事に対してのやりがいもあります。
検査の仕事のデメリットが、目視検査の場合は目が疲れたり、ラインでの検査の場合立ちっぱなしなので足が疲れたりすることです。しかしながら、ローテーションを組んで作業する人が疲れないように配慮していたり、座った状態で検査をしたりする工場もありますので、全ての検査の仕事が目や足が疲れる、とは一概には言えません。
検査は毎日同じ作業を繰り返すお仕事です。コツコツと同じ作業を根気よくできる人に向いています。
検査は安心・安全な製品を市場に出すための大切な工程です。検査に不備があると規格外の製品が出回り、それに伴う事故が発生してしまうことも。事故が発生する前に、製造側も自主回収を行うなどの手間や費用も発生しますし、企業の信頼問題にも関わります。
検査を担うために必要なのは責任感です。自分の検査が製品の品質管理の上で、重要なポジションであることを理解し、いつでも正確な作業ができる人が望ましいです。
特に精密機械や自動車部品などの検査には、特殊かつ専門性の高い機器を使用した機械検査が行われています。これらの機器を取り扱った検査を行うのは、国家技能検定のひとつである「機械検査技能士」資格が必要になります。
機械検査技能士の資格取得のためには、都道府県職業能力開発協会が実施する技能検定試験・実技検定試験に合格しなければいけません。技能検定試験の出題科目は、厚生労働省の職業能力開発局「機械検査技能検定試験の試験科目及びその範囲並びにその細目」に記載があります。
検定は、職種ごとに特級、1級、2級、3級及び単一等級に区分し、実技試験及び学科試験により実施されます。合格者には、特級、1級及び単一等級は厚生労働大臣の、2級及び3級は宮城県知事の合格証書が交付され、技能士の称号が与えられます。
参考:厚生労働省職業能力開発局「機械検査技能検定試験の試験科目及びその範囲並びにその細目」
機械検査技能士の資格取得を目指すには、まず検査の実務経験を積むために検査の仕事に就くのがおすすめです。
製品の安全と安心を担う工場の検査のお仕事は、幅広い年齢層の方や未経験者でも始めやすいことが分かりました。また、機械検査技能士の資格を取得すれば、その後のキャリアアップにも繋がります。
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