[更新日] 2019年10月21日

工場・製造業SE(システムエンジニア)の仕事内容とは?

日本のものづくりの技術はすでに海外でも認められており、中小規模の製造業でも海外へ製品を輸出するなど、グローバル化が加速しています。

より効率的に製品の製造から管理、物流まで管理できるように、IT面でサポートを行っているのがSEのお仕事です。

製造業SEのお仕事内容やメリット・デメリット、働くために必要なスキルや資格についてご紹介します。

執筆者のプロフィール

はたら工場マガジン編集部
編集部には工場での仕事経験者をはじめ、ものづくりに関わる資格保有者や人材派遣会社のキャリアコンサルタント経験者が在籍。工場や製造業の仕事をわかりやすく解説します。専門家たちが集まる「はたら工場マガジン」の運営から得た知見を活かした情報発信を心がけています。

製造業SEの仕事内容とは

SE(「エスイー」と読みます)とはシステムエンジニアの略で、主に顧客からの要望に応じたシステムの設計から構築を行う職種です。ここでは、特に製造業で活躍するSEのお仕事内容をご紹介します。

既存のプログラムやサーバーの保守点検

製造業のオフィス内や工場内で使われている様々なプログラムや、社内サーバーが正常に動いているか保守点検を行います。バグなどの不具合が発生した時には、製品製造を担う工場の製造ラインや、出来上がった製品を市場に出すための物流ラインや販売ラインが止まってしまい、事業に影響が出てしまいますので、常にプログラムやサーバーを正常な状態に保つのも製造業SEのお仕事です。

IT関係のサポート業務

製造業のオフィスや工場において、「新しいプログラムの使い方が分からない」従業員へのサポートなど、IT関係のヘルプデスクのような役割も担っています。

新しいシステムの設計と構築

グローバル化や製品の多様化に伴って、さらに円滑に事業が進められるように製造業でも新しいアプリケーションシステムを取り入れるところが多くなりました。従来では、既存のプログラムなどの保全やサポート業務が主業務だった製造業SEも、今は新しいシステムの設計と構築の需要が高くなったため、多くのSEが製造業で求められるようになりました。

製造業で新しく取り入れられているアプリケーションシステムには、主にERP、CRM、SCMの3つがあります。

ERP(統合管理システム)

ERPとはEnterprise Resource Planningの略で、統合管理を行うアプリケーションシステムです。製造業では製品の製造を行う生産システムのほかにも、製品の営業販売を行う営業システム、従業員の勤怠や管理を行う人事システム、経理業務を行う会計システムなどが存在します。これらの製造業の業務上で必要なシステムを一貫統合し、異なる部署間でもシステムの共有を可能とするアプリケーションシステムがERPです。

今までは部署ごとに別々のシステムを使用していた場合でも、一貫してひとつのERPを利用することで、企業や工場全体の業務効率の向上に繋がります。

CRM(顧客管理システム)

CRMとはCustomer Relationship Managementの略で、顧客管理を行うアプリケーションシステムです。登録されている顧客の基本情報だけでなく、顧客と企業、製品との関係も管理できるので、今後の製品の需要傾向を掴んだマーケティング管理や、顧客満足度を高めるための戦略立案や管理なども行います。

SCM(サプライチェーン管理システム)

SCMとはSupply Chain Managementの略で、製品の流れを一括して管理するアプリケーションシステムです。製品の製造をするための原材料の調達から、製造された製品が実際に消費者の手に渡るまでの流れを「サプライチェーン」と呼び、このサプライチェーンを管理するシステムがSCMです。

製造業SEで働くメリット

製造業SEとして働く前に知っておきたい、メリット・デメリットをご紹介します。

多様な働き方ができる

製造業SEとして活躍するのは、その製造業の企業の求人に応募し、企業の従業員として直雇用される方法のほか、SE業務を担っている企業に就職し、製造業のシステム構築に携わる、または出向する方法、さらにフリーランスSEとして働く方法があります。SEとしてのスキルや知識があれば、働く場所や方法を選ばない職種でもあります。

ものづくりに間接的に携われる

SEが構築しているシステムは製造業以外でも用いられていますが、製造業SEならではのメリットが間接的にものづくりに関わった業務ができることです。工場の製品の流れを管理するプログラムから、製品が市場に出るサポートをするプログラムまで、システム構築やプログラミングなどのスキルで、ものづくりをサポートするやりがいがあります。

今需要がとても高い

SEの中でも、特に製造業SEは製造業のグローバル化やシステム構築の需要の高まりを受けて不足しています。さらに、製造業SEでも製造業の社員として雇用する社内SEの求人も多いため、今派遣社員など非正規雇用SEとして働いている方が正規雇用を目指すチャンスもたくさんあります。

製造業SEで働くデメリット

常に勉強が必要

SEはシステムの設計や構築を行うだけでなく、プログラミングの知識も必要になります。プログラミングの用語や文法は日進月歩のため、今持っているスキルだけでは新しいプログラミングに対応できなくなるため、常に勉強して新しいスキルや知識を身に付けなければいけません。ですが、新しい知識を吸収するのが好きな方や、柔軟性の高い方には向いている職種です。

製造業SEに向いている人

製造業SEを目指すときに必要な資質や資格などをご紹介します。

コミュニケーション能力

製造業SEは、どんなシステムが欲しいかをじっくりヒアリングする要求分析・要件定義の後、納期を決めてシステムを作るためのプロジェクトを開始します。プロジェクトでは、システム構築の各工程が円滑に行われ、納期に間に合うようにほかのSEやプログラマーと連携を取らなければいけません。よって、IT職の中でもコミュニケーション能力が必要な職種です。

マネジメント能力

製造業SEは、プロジェクトが開始するとプロジェクト全体の管理も行います。ひとりに負担がかからないように、適切な作業割り当てや納期に間に合うようにスケジュール調整や各工程の進行状況の確認を行うなど、マネジメント能力も求められます。

製造業SEに必要な技術

製造業SEになるには、当然システムの設計や構築をするための知識やスキルも必要になります。さらに、システムのプログラミングはプログラマーが行いますが、その前段階の設計も行うので、当然プログラミングの基本的な知識も必要になります。

IT技術に関する資格があると有利

製造業SEは、知識やスキルがあれば未経験もOKの求人も多くありますが、IT技術に関する資格を取得すると、自分がどのくらいの知識やスキルがあるかの証明になるため、採用にも有利になります。さらに、資格を活かしてキャリアアップも目指せます。

基本情報技術者試験・応用情報技術者試験

基本情報技術者試験および応用情報技術者試験は、独立行政法人情報処理推進機構(IPE)が実施、運営しているITエンジニアのための国家試験です。SEとしてのキャリアアップを目指すためにまず基本情報技術者試験を受験し、その後応用情報技術者試験を受験するのがおすすめです。

参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:基本情報技術者試験

システムアーキテクト試験

情報システムの設計や組み込みシステムの設計に関するスキルの証明となる試験がシステムアーキテクト試験です。こちらも独立行政法人情報処理推進機構(IPE)が実施、運営しています。合格率は10%代の難関国家資格としても知られていますが、取得すれば上級のSEとしての証明になります。

参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:システムアーキテクト試験

ネットワークスペシャリスト試験

ネットワークに関する幅広い知識が問われる国家資格で、ネットワークシステム構築を担うSEなら持っておきたい資格です。

参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:ネットワークスペシャリスト試験

まとめ

製造業SEのお仕事についてご紹介しました。今後も需要が高くなると予想されている製造業SEは、今は求人数も多くなっています。SEとして正規雇用を目指したい方や、他業種から製造業SEへ転職したい方も、今が絶好のチャンスと言えます。