[更新日] 2022年3月14日

製本オペレーターの仕事内容とは?製本工場や印刷会社の求人

紙に字や画像を印刷し、まとめあげ、一冊の本として完成するまでの工程を「製本」と呼びます。

普段聞きなれない製本の仕事は、主に製本工場で募集されている職種です。ここでは、製本の仕事内容や働くうえでのメリット・デメリット、製本の仕事に関わる資格についてご紹介します。

執筆者のプロフィール

はたら工場マガジン編集部
編集部には工場での仕事経験者をはじめ、ものづくりに関わる資格保有者や人材派遣会社のキャリアコンサルタント経験者が在籍。工場や製造業の仕事をわかりやすく解説します。専門家たちが集まる「はたら工場マガジン」の運営から得た知見を活かした情報発信を心がけています。

製本の仕事内容とは

製本の仕事は作業内容も多岐にわたります。お仕事内容を見てみましょう。

機械を使って本にまとめる

印刷した紙をページに合わせて断裁する、本を1ページずつ順番に乗せて本体のページを作る、本体のページと表紙を合わせる、カバーを取り付けるなど、機械を使って本にまとめる作業を行います。

手作業で本にまとめる

装飾の細かいカバーを取り付けるなど、手作業で本を作っていく作業です。本の綴じ方には中綴じ・平綴じ・無線綴じや糸かがりなど色々な手法があります。さらに、本の形状もソフトカバーからハードカバーまでありますので、適切な方法で製本を行わなければいけません。

折り加工をする

「折り丁」と呼ばれる、ページを折って製本する工程があります。折り加工には2折り・3折り・4折り・アコーディオン折りなどがあります。

印刷をする

本のページ本体の印刷を行う作業です。主に印刷機にインクや版、紙をセットするお仕事で、「印刷オペレーター」とも呼ばれています。機械を使って印刷を行うだけでなく、インクや印刷紙の発注や在庫管理などもまとめて任されることもあります。

出来上がった本の検品や梱包

ページが飛んでいないか、不鮮明な印刷はないか、汚れや折り目がついていないかなど、出来上がった本の検査や検品を行います。さらに、検査や検品が終わった本をそのまま発送できるように、梱包する作業もあります。

製本の仕事のメリット

本が好きな人ならぜひやってみたい製本のお仕事。メリットとデメリットを見てみましょう。

本が好きな人に最適

製本はその通り、本を作っていくお仕事です。普段から読書が好きな人はもちろん、漫画雑誌やファッション雑誌、卒業アルバムや図鑑など色々な本が作られていくので、自分が興味のあるジャンルの製本に携われる大きなやりがいもあります。

印刷業界を目指す人にもおすすめ

製本のお仕事は、主に製本工場で募集されています。印刷を行う機械のオペレーティングや、印刷に使用する紙やインクの知識や技術も身に着きます。将来的に印刷業界や出版業界で働きたいと思っている人は、アルバイトなどで製本のお仕事を経験しておくと、その後の強みになる可能性も高いです。

アルバイトや単発でも募集されている

製本のお仕事は、製本工場の正社員として働くだけでなく、本の出版日付近や卒業アルバムなどの受注が増える時期には、単発でのアルバイトや派遣での募集も多くされています。色々な働き方ができるので、学生や主婦の方も働きやすいお仕事です。

未経験から気軽に働ける

製本のお仕事を行うのに、特殊な資格や免許は必要ありません。さらに、製本のお仕事は経験したことのある人の方が少ないお仕事のため、ほとんどの求人が未経験者可能で募集されています。未経験からでも気軽にチャレンジできるお仕事です。

製本の仕事のデメリット

少しの体力が必要

製本のお仕事は、できあがった本や印刷紙、インクを運ぶなどの作業もあります。作業の中には、一日立ちっぱなしで行うものもあります。腰や肩に持病があって立ちっぱなしが難しい人や、体力があまりない人には向いていません。少し体を動かしながら働きたい人や、平均的な体力がある人なら問題ありません。

単純作業のため、飽きっぽい人には向かない

製本のお仕事は、ひとつの作業をまかされるとそれを繰り返し、黙々と行う作業です。色々な作業をしたい人や、人とコミュニケーションを取りながら仕事をしたい人には不向きな仕事です。逆に、ひとつのことに集中して取り組める人や、単純作業が好きな人には最適なお仕事です。

繁忙期があることがある

製本のお仕事は、単発募集の求人がある反面、ずっと同じ製本工場で働いていると月には閑散期と繁忙期があります。雑誌などの発売日が重なる繁忙期には、お休みが取りにくかったり、残業が多くなったりするデメリットがありますが、メリハリをつけて働きたい人や、残業代もしっかり稼ぎたい人にはぴったりです。

製本の仕事に向いている人

製本のお仕事に必要な資質や心構えをまとめました。

正確さや丁寧さ

製本は、正しい順序でページを並べたり、きちんと折り目をつけて表紙や背表紙をつけたりする、正確性の求められる作業です。大量に刷られる雑誌だけでなく、卒業アルバムなど手作業で製本する本もあります。手に取る人の気持ちを考えて、正確、丁寧な作業ができる人が求められています。

集中力

製本は、毎日同じ作業を黙々と続けていく必要があります。同じ作業を長い間行っても苦にならない根気強さや、同じ作業が続いても気が緩まない集中力も必要です。

柔軟性

製本のお仕事は、同じ作業を続ける中で自分なりに工夫をすると、スピードや作業効率を上げることができます。毎日の仕事の中でも工夫をしながら仕事ができる柔軟性や向上心があると、なお良いでしょう。

製本の仕事に関わる資格

製本のお仕事を行う時には必要な資格はありませんが、製本の技術力の証明となる資格はあります。製本のお仕事を極めたい人なら持っておきたい、製本の資格をご紹介します。

製本技能士

製本技能士とは、厚生労働省が認定した技能検定制度のひとつです。製本に関する技能を測る国家資格で、問題作成を中央職業能力開発機構が行い、検定は都道府県職業能力開発協会が実施しています。合格すると、製本技能士を名乗れます。また、1級合格者は職業訓練指導員 (製本科)の実技試験と学科試験の関連学科が免除、2級合格者は実技試験が免除されます。

書籍製本作業、雑誌製本作業、事務用品類製本作業の区別に分かれ、それぞれ1級と2級があります。

参考:厚生労働省職業能力開発局 製本技能検定試験の試験科目及びその範囲並びにその細目

印刷技能士

製本技能士と同じく、厚生労働省の認定した技能検定制度のひとつで、印刷に関する技能を測る国家資格が印刷技能士です。合格すると印刷技能士を名乗れ、凸版印刷作業・オフセット印刷作業の区分でそれぞれ1級と2級があります。

なお、受験資格として凸版印刷作業の1級は1年以上、2級は2年以上の実務経験が必要です。

参考:厚生労働省職業能力開発局 印刷技能検定試験の試験科目及びその範囲並びにその細目

製本の仕事に就くには?

製本のお仕事、といってもあまり聞きなれない人も多いため、仕事に就きたいと思ってもどこで募集しているのか分からない、という方も多いのではないでしょうか。ここで、主な製本のお仕事に就く方法をご紹介します。

工場求人のサイトを探す

製本工場の求人は、一般の求人サイトではあまり見かけません。よって、製本工場で出されている製本の求人を探す方には、工場求人を専用に行っているサイトを利用すると便利です。勤務地や雇用形態などで検索できる工場求人サイトなら、自分に合った製本工場の求人も見つけられます。

製本のお仕事を扱っている派遣やアルバイトに登録する

製本のお仕事の紹介が受けられる派遣会社やアルバイトに登録すると、製本のお仕事に就くことができます。ただし、単発のお仕事が多いため継続的に製本工場で働きたい人には向かない方法です。さらに、タイミングによっては製本のお仕事自体が派遣やアルバイトで登録されていないため、仕事自体が紹介されないこともあります。


製本のお仕事の内容やメリット・デメリット、必要なものや就くための方法についてご紹介しました。近年では電子書籍の普及から製本のお仕事の求人も少なくなりつつありますが、工場求人の専用サイトを利用すれば、製本工場のお仕事求人も探しやすくなります。本が好きな方はぜひチャレンジしてほしいお仕事です。