[更新日] 2019年10月26日

電気主任技術者とは?資格の種類と仕事内容

電気主任技術者とは、工場やビルなどの保守監督が中心の仕事です。商業施設や発電所など電気設備がある場合、工事、保守、運用に電気主任技術者を監督者として選ばなければなりません。

電気主任技術者の資格は一種、二種、三種と取り扱える電圧によって範囲が定められています。

電気主任技術者の仕事内容や資格情報について詳しく解説します。

執筆者のプロフィール

はたら工場マガジン編集部
編集部には工場での仕事経験者をはじめ、ものづくりに関わる資格保有者や人材派遣会社のキャリアコンサルタント経験者が在籍。工場や製造業の仕事をわかりやすく解説します。専門家たちが集まる「はたら工場マガジン」の運営から得た知見を活かした情報発信を心がけています。

電気主任技術者とは

工場や大型ビル、建設工事現場や変電所、ダムなど多くの電気を日常的に使用する施設や企業では、電気設備の安全管理がされていないと大事故に繋がる危険性もあります。これを踏まえて、日本では、電気の保安や保全に関する法律である「電気事業法」を定めています。そして、電気事業法43条1項において、「事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、経済産業省令で定めるところにより、『主任技術者免状の交付を受けている者』のうちから、『主任技術者』を選任しなければならない」とし、事業所や施設の規模に応じた「電気主任技術者」の有資格者の配置が義務付けられています。

電気主任技術者の仕事内容

工場における電気主任技術者のお仕事は、日々工場内で使う電気が安全に供給されるように、電気設備の保全や管理を行うことです。また、電気設備に異常があった場合には、現場の責任者に改善要求を行います。さらに、工場内で大型の電気設備を新しく取り入れる時にも、電気の監督責任者として工事に立ち会い、安全・確実に設備工事が行われているかをチェックします。

工場では、電力会社から供給される電力を使用しているところもあれば、火力や太陽光を取り入れ、電気の自家発電を行っているところもあります。工場の電気主任技術者と一言に言っても、保全や工事、監督を行う電気設備の種類は工場ごとに異なります。

電気主任技術者の種類

電気主任技術者は、取り扱える電気工作物の電圧によって3種類の段階に分かれています。

  1. 第三種電気主任技術者免状…出力5,000kW以上の発電所を除く50,000V未満の電気工作物
  2. 第二種電気主任技術者免状…170,000V未満の電気工作物
  3. 第一種電気主任技術者免状…全ての電気工作物

なお、電気工作物とは発電や送電、配電、電気供給などに使用される機械や器具、電線路などの総称です。一般家庭でも使用される「一般電気工作物」と、電気事業や工場やダムなどの自家用で使用される「事業用電気工作物」があります。

電気主任技術者の資格試験

電気主任技術者は、電気の安定供給や保安の確保を目的として誕生した職種です。現在は「一般財団法人 電気技術者試験センター」が実施している国家資格のため電気主任技術者資格に合格しなければいけませんが、学歴・年齢・性別・国籍などの制限もなく、実務経験も必要ないため未経験でもチャレンジできる資格です。

電気主任技術者試験について

第一種と第二種試験は、一次試験と二次試験があり、第三種試験は、一次試験のみです。

 一次試験は、理論、電力、機械、法規の4科目ありますが、科目別合格制なので有効期限の3年間を使って勉強する方法も採れます。

 二次試験は、電力・管理と機械・制御の2科目あり、科目別合格制度はありませんが、一次試験合格年度に不合格でも翌年度は一次試験が免除されます。

引用:電気主任技術者って何だろう? | ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター

受験の際には一般財団法人電気技術者試験センターの公式サイトから日程を調べ、インターネットから申し込みが可能です。

電気主任技術者のメリット

求人需要が高い

電気主任技術者は、一定の電圧の電気設備を使用する施設や建物などで、必ず設置しなければいけない職種です。そのため、幅広い需要があり就職先も多岐にわたります。

工場の電気主任技術者でもあまり体力は必要ない

工場のお仕事といえば、腕力や体力が必要なイメージを持つ方も多いと思います。ですが、電気主任技術者の主なお仕事は電気設備の保全や工事の監督なので、工場の電気主任技術者として働いても体力はそれほど必要ありません。

電気主任技術者のデメリット

試験の合格率が低い

電気主任技術者のデメリットは、国家資格である電気主任技術者資格試験の合格率が10%以下と、取得が難しいことです。とはいえ、特定の受験資格は必要ありませんので、まずは第三種から受験し、実務経験を積みながらステップアップしていくのが良いでしょう。